部室に入ってみると、そこには既に全員が揃っていた。
各自、机に顔を向けて座っている。
その手にはシャーペンを、視線の先には白い紙があった。
Dear me,
「遅かったじゃない、」
涼宮が俺の入室に気づいて、団長席を立ち上がる。
何か約束してたか?
「今日は活動のために、チャイムが鳴ったらここに居るようにしなさいって言ったでしょ」
聞いてないぞ、そんな話。
ちらりと朝比奈を見てみる。
小さく手を合わせて謝っていた。
どうやら、伝え忘れていたらしい。
「悪い。それで、今日の活動内容は?」
機嫌が直るはずがないなら、話を進めればいい。
涼宮は、俺に四枚の紙とシャーペンと渡してきた。
何するんだろう。
「タイムカプセルを埋めるのよ。だから、未来の・に手紙を書きなさい」
「四枚も自分に書けねえよ」
「何言ってるの、2週間後と2年後と5年後と10年後の分よ」
「はあ?」
2週間て、早すぎ。
ていうか、タイムカプセルじゃねえだろ、それ。
それに、多いぞ、手紙。
「忘れないようにするためなの」
「忘れるくらいなら、やらなきゃいいだろ」
文句言わないで、さっさと書く!
命令されちゃ、仕方ない。
俺もどこかに腰を下ろして、紙を見つめてみた。
て、それだけで書けるわけねえな。
「ちょっと、小便行ってくる」
なんて嘘をついて、部室を出てみる。
へへ、こういう時は他人が何書いてるか見てみよう。
自分は透明人間だから、姿を隠すなんて簡単だぜ。
まずは、言い出した涼宮から。
なになに・・・
学校を征服!、国を征服!、世界を征服!、宇宙を征服!
・・・こいつ、10年以内に世界を征服する気かよ!?
怖すぎる、やっぱ可笑しいぞ、死神は。
キョンのを見てみよう。
ちゃんと寝てるか?、振り回されてないか?、いい加減、解放されてるか?、もうあいつはいないよな?
・・・切羽詰ってんな、キョン。
ちょっと涼宮をこいつに押し付けるのが可哀想に思えてきた。
次は、長門のを見てみるか。
17:34:42、14:01:56、08:10:20、23:28:06
これって、もしかして・・・
「タイムカプセルを開ける時間」
何で先のこと知ってんだよ、お前は。
朝比奈は、何書いてんだろ。
新しい服買えましたか?、楽しいですか?、元気ですか?、問題ありませんか?
2週目以降って・・・涼宮絡みなんだろうか。
それとも、何も浮かばなくて?
彼女の顔が青白くなっているのは、無視しておこう。
あとは、古泉か。
晴れてますか?、雨は降ってますか?、雷が鳴っていますか?、曇っていますか?
・・・これの何が楽しいのか理解できねえ。
「楽しいじゃないですか。未来の僕は、きっと過去の天気が何だったかを気にしますよ」
よく分かんねえよ。
参考にする気は無かったが、やっぱりだめだったな。
「、書けた?」
しばらくしてから、涼宮が俺に声をかけてくる。
完成した四枚の手紙を並べて見せた。
げ、ん、き、か
彼女が読み上げた瞬間、ハリセンで頭を叩かれる。
これでも真面目に取り組んだんだけどな。
「何よ、これ!1つの手紙に一文字って!」
「面白いだろ、なかなか」
「ぜんっぜん!」
その会話の途中で、キョンが涼宮に質問をする。
「お前、これをどこに埋める気だ?」
「埋めないわよ、まだ」
彼女の発言に、読書に戻った長門以外は首を傾げた。
まだ、というのはどういう事だろう。
「だって、最初は2週間後でしょ。キョンのベッドの下にでも置いておいて」
「それ、タイムカプセルって言うのか?」
「2週間後の手紙を見たら、どこかに埋めればいいでしょ」
その適当さに、さすがの古泉も苦笑していた。
このカプセル、絶対に2年後に開けられること無いような気がしてきた。
-back stage-
管理人:ていうか、皆、「手紙」というほど書いてないやん。
キョン:自分でつっこんだか。
管理人:またしても突発的なネタではございます。
キョン:それで、また自分のやってるネタを使ったんだな。
管理人:はい♪よく、メール送るときに「件名:帰」「本文:る」とかやります。
キョン:親だからできることだな。
管理人:え、友達にもたまにやってるよ?
キョン:・・・それ以上、輪を広げるなよ。
2007.07.25
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