気づいたら惹かれてた、変な女―――涼宮ハルヒ。
そいつに猛烈アタックをしてみるが、拒絶ばかりされる。


変だな。
涼宮ハルヒと同じ中学に行った奴の話だと、交際を断った事は無いらしい。
交際をした後に、飽きたと言って捨てるらしいが。


だから、付き合ってみるだけでもできるかと思ったんだが。
何でだろうな、最初から断られてしまった。


 「涼宮さ、好きな奴でもいるわけ?」

 「別に、そんなんじゃないわよ」

 「だったら、何で俺と付き合ってくれないんだよ」


とりあえずは、会話をしてくれる仲になれた。
それで精一杯っていうのが、事実だけど。


 「だから、と付き合ってみたって面白く無さそうなんだもの」

 「付き合ってみないと、分からないだろ」

 「分かるわよ。あんたの顔を見たら」


眉間に皺を寄せてまで、言わなくていいのに。
それでも、めげずにアタックし続ける俺もすごいが。




だが、しつこい俺がよほど鬱陶しかったんだろう。
次の日、涼宮は何かを新聞紙で包めたモノを渡してきた。


 「それが、あたしの気持ちだから」

 「なんだよ、これ?」


開けてみれば、草が出てくる。
一体何だ、これは?
茎に刺がある。


 「オルティーって発音するのかしら?それが、フランス語の名前」

 「日本語で教えてくれたって、いいだろ」


変なところで、涼宮が賢いことを思い知らされる。
フランス語って、どこでその知識を得たんだ?

『オルティー』と告げられた草に触れてみようと手を伸ばしてみる。
しかし、この草は茎にだけでなく葉っぱにも刺があった。
鋭い痛みが指先に走る。


 「あ、それ、トゲがあるわよ」

 「言うのが遅い。というより、狙ってたろ、これ」


この草で俺を痛めつけようって作戦か。
それぐらいで、俺が諦めるとでも思ってはいないはずだが。


 「それの花言葉が、私のへの気持ちだから」


それだけを言い残すと、涼宮はどこかへと行ってしまった。



とりあえず、俺はもらった草を家に持ち帰った。
そして、『オルティー』というヒントから、日本語の名前を見つけ出す。
最近はインターネットという便利な道具があるから、調べるのも楽だ。


 「イラクサ・・・刺草か」


名前にも、刺が入ってる。
そりゃそうか、どこを触っても刺だらけなんだから。

そのまま、花言葉を調べてみる。
検索の結果、『中傷・根拠のない噂・意地悪な君』と出てきた。



違うな。



涼宮は、そんな事の為にわざわざ渡してきたとは思えない。
だが、他に花言葉は無い。


どうしたものか悩んでいると、涼宮が花の名前をあえてフランス語で言っていた事がひっかかった。

改めて、調べなおしてみる。
都合が良いことに、フランス語での花言葉をまとめた本が見つかった。
時計を見れば、まだ本屋が空いている時間。
立ち読みで調べられれば、もっとラッキーだ。


 「これか」


目当てのものを発見して、イラクサのページを探す。
そこに行きついて何が書いてあるかを読むと、俺は大きくため息をついた。


 「涼宮らしいといえば、涼宮らしいか」


ここまで手の凝ったことをするには、時間が掛かっただろう。
イラクサは、この地域では自生してないことが、調べによって分かっていた。





Ortie
C'est inutile! Vous ne me plaisez pas!
無駄です。私はあなたが好きではありません。






-back stage-

管理:短いながらも、書いてみました、ハルヒ夢。
涼宮:頑張って、名前変換を入れてみたって感じね。
管理:でも面白いぐらい、この花言葉の言いようが貴女にあってるよなぁ。
涼宮:あたしは、ここまで冷たくないわよ。
管理:ここまで凝ったやり方で断るぐらいだから、違うんだろうね。
涼宮:分かってるんだったら、素直に普通の話でも書きなさい。
管理:・・・命令形ですか・・・

2006.11.30

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