「なぁ、妲己。退屈じゃね?」

 「あらん。退屈って事は、いい事なのよ?」



蓬莱島のある個室。
体がうまってしまいそうなソファにと妲己は身を任せていた。



 「事が上手くいってるから、か」

 「面倒は無い方がいいに決まってるわ


妲己は軽く頬にキスをすると、立ち上がる。
しかし、が彼女の腕を引っ張ることでそれを拒んだ。


彼女を腕の中に抱きしめ、は問う。


 「いつになったら、この生活は終わるんだよ」

 「もう少しよ。あと少しで、わらわは神ともいえる存在になれる」

 「その力を俺にくれたら、ありがたいんだけどな」


彼女の長い髪に口づけをするに、妲己は微笑む。


 「ちゃんだって、知ってるでしょ?どれだけ、わらわが力を欲しているか」

 「俺を本当に愛してくれてるなら、簡単にできる事だと思っちまうだろ」

 「あは。もちろん、ちゃんを愛してるわ。だから、ずっと守っててあげる」


妲己はに心を惹かれている。
彼女の誘惑にひっかからない仙人でありながらも、もまた妲己に惚れていると言う。
本当かどうか、真偽が問えない為に妲己はたまに苛立ったりすることもある。


だからこそ、彼女は彼に力を与えたくなかった。
彼女の美貌をもってでも、彼が力を得たら自分から離れてしまうという可能性があるからだ。

もし、が力だけを目当てに妲己に近づいていたとしたら。
嫌な思いを、この不安を、感じずにいられるようにいたいのだ。
それに、彼女が力を得ていた方が永遠に共にいる事ができる。
そう考えた。


 「ちゃん。わらわが神になっても、ちゃんはわらわを愛してくれる?」

 「あたりまえだ。何処にいたって、俺はお前しか見えねぇよ」



うわべだけの言葉でないことを願いつつ、妲己は彼の心音を聞きながら目を瞑った。










-back stage-

管理:すっごく短いけど、妲己がこんな人だったらいいなぁと思って。
妲己:わらわを愛さない人がいるわけないに決まってるでしょう。
管理:えー。聞仲とか申公豹とか・・・
妲己:あれは、違うに決まってるでしょ。
管理:(『あれ』扱いか)でも、太公望も惚れてはいないよね?
妲己:何を言ってるのん。あの子の目を見れば、分かるわん。
管理:そ、そうっすか。

2005.02.10

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