空の色






仕事が一段落し、シズネは外のベンチで息抜きをしていた。
背もたれに身を任して上を仰げば雲ひとつ無い青空。
しかし、疲れがたまっているシズネはため息しか出てこなかった。


 「大分お疲れのようで」


ふいに後ろから抱きつかれ、シズネは目だけで声の主を追った。


 「さん・・・そっちこそ、大分手こずったようですね」


任務の帰りなのか、少々服が汚れていた。
恐らく怪我もしているだろうけど、病院へ行けと言って行くような男ではなかった。
仕方なくシズネは彼を隣に座らせると治療をしてあげた。


 「シズネさんの手料理が待ちきれなくて、集中できませんでした」

 「煽てても何も出てきませんよ?」

 「じゃあ、脇にある弁当は自分の為ですか?」


今は、おやつの時間帯。
彼女の昼食や夕食のはずがなかった。


 「トントンの為です」

 「ほぉ。あの豚の」


とトントンは犬猿の仲と言ってよいほどだ。
ここでトントンの名を出すのは賢明ではないが、本当のことであった。


 「俺のは無いんですか?」

 「ここには、ありません。置いてきちゃったんです」

 「それだけを楽しみにしてたんですけど?」

 「我慢してください」

 「・・・豚の弁当は、俺でも食べれます?」


あろうことか、は弁当を取り上げる。


 「あ。せっかくさんのお弁当には好物を用意したのに」

 「後で食べます。これは、おやつ」


弁当を広げ自分で食べるかと思いきや、はシズネの膝の上に置いた。
シズネは嫌な予感がした。


 「あぁ、急に疲れが。食べさせてくれません?」

 「無理です」

 「断固否定しないで下さいよ」

 「こんな所で、そんな恥かしいこと出来るわけないでしょう」

 「出来ますって。ほら」


お箸を手に持ち、はウィンナーをシズネに食べさせた。


 「次はシズネさんの番」


不覚にもニヤリと笑うにシズネは惚れ惚れとしてしまった。


 「何で私、さんを好きになっちゃったんでしょうか」

 「俺がイイ男だからじゃないですか?」



ふと、彼女が空を見上げれば、雲ひとつない青空。
先程とは違う疲れによって、またため息をついた。












-back stage-

管理:風鈴様よりのリクで書かせていただきました、シズネ夢!
シズ:ちょっと短くないですか?
管理:・・・そ、そうかな。
シズ:こんなので満足されるかどうか、怪しいですよ。
管理:ど、どうしよ!?風鈴様が綱手さんのような人だったら!!
シズ:そんなわけないでしょうが!
管理:・・・ところで、豚の名前って『トントン』?
シズ:(それも知らなかったんかい!!)

2005.10.09

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