戦闘がティアの譜歌によって終わる。
敵の気配が消えると、ティアは共に戦っていたの元へ歩んだ。


 「どうして、戦ってくれないの!」


彼女が怒るのも、無理はない。
後衛のティアを守れるのは、前衛であるだけである。
だというのに、彼女が譜歌を歌えば、彼は守る態勢もせずに聴き入っているのだ。


 「何の問題もなかったんだから、いいだろ」

 「良くないから言ってるんじゃない。集中が乱れるのよ、守ってくれないと」

 「ティアが危なくなったら、ちゃんと守ってるじゃないか」


笑顔で答えるに何も言えず、ティアは頭を抱える。
納得がいかない様子の彼女のために、彼は理由を述べた。


 「俺さ、ティアの歌声が気に入ってるんだ」

 「私の歌声を?」

 「そう。澄みきっていて・・・俺とは違う世界の人間なんだなぁて、考え込むわけ」


自身の手を見つめたが、苦々しい表情で拳を握る。
何か深い事情があるのだと悟ったティアは、何も言えなくて口を閉じた。
それに気づいたは、重苦しい雰囲気を飛ばすために明るい声で答えた。


 「と、いう深刻な話だったら、どうする?」


面食らうティアを前に、が吹きだす。
からかわれていたのだと知った彼女が、を罵った。


 「だけど、ティアの歌が好きなのは、本当だ」

 「それは、どうも。だけど、戦闘に影響を与えるのは止めて。いつでも歌ってあげるから」

 「気をつけておくよ」


直す気がないのが分かり、ティアは諦めて彼を放っておくことにした。
彼女が遠ざかってから、はため息を吐いた。


 「危うく、自分の過去をさらけ出しそうだった」


もう一度、握り締めていた手を見つめる。
見えるはずの無い血糊がこびりついているように思えた。
そして、鉄の匂いが鼻にまとわりつくような錯覚に陥る。
は、ひどく吐き気がした。


立ちくらみがしてしまい、その場に寝転がった彼の耳に心地良い音が入る。
遠くでティアが歌っていた。

ゆっくりと深呼吸をして、その歌に聞き入る。
不思議と、彼は落ち着きを取り戻していた。


 「やっぱ、綺麗だ」


風の音とのハーモニーに笑みを浮かべて、は微笑んだ。



うた









-back stage-

管理人:色々な不明な点があると思いますが、お構いなく。
ティア:それを言ったら、話を書いたことにはならないわよ。
管理人:ぶぅ。滅多に書かないテイルズ女キャラ夢を書いたんだから、褒めて!
ティア:それなら、もう少し長い話を書きなさい。
管理人:・・・。
ティア:・・・。
管理人:次、頑張ればいいんでしょ!

2007.02.13

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