「へー、アイギスか。格好良い名前だな」


特別課外活動部の皆さんと同じ生活ができるよう『転校』してきた、私。
機械である私が、人と同じように行動できるか分かりませんが。
それでも、彼の傍に居る為に頑張ろうと思っているであります。


そんな私に話しかけてきた、一人のクラスメート。
きちんと対応できるよう、心がけなくてはなりません。


 「ありがとうございます」


ここは、感謝の気持ちを述べれば良いはずであります。


 「誰がつけたんだ、アイギスの名前?」

 「それは、貴方に言う理由がありません」


シャドウや影時間に関わることは、学校では口にするな。
守るべきあの方が仰っていたことを思い出し、答えることを拒否しました。


 「理由?・・・あ、そっか。俺、。よろしくな」

 「何でありますか、突然?」

 「いや、だから、先ずは自分を名乗れっていう意味じゃねえの?」

 「ですから、貴方に・・・」

 「

 「さんに教える理由が無いと言ってるんです」

 「あ、俺の名前は親父がつけたんだって」


この人は、私の話を聞いてない。
『学校』とは、そのような方々がいる場所なのでありますか。


 「そういや、アイギスの名字は何なんだ?」

 「私に名字はありません」


さっきの質問に答えなくても、新たに問いかけてくる。
何故、この方は次々と疑問を抱くのでしょうか。


 「名字が無い?外国で、そんな所あったかな」


首を傾げたさんは、気にしないことにしたのか、また話を変えた。


 「でも、格好良いよな、アイギスの名前」

 「なぜですか」

 「ギリシャ神話に出てくるアテネの盾だろ。元はゼウスのだけど」


そうやってツンツンしてんのも、守りの態勢に入ってるからか?
笑って接するさんの言葉を流してしまう。
まさか私の名前の意味を知っているとは思わなかったからだ。


 「ギリシャ神話に興味があるのですか?」

 「まぁな。反応したってことは、由来がそれってことか?」


いくら親が神話好きでも、すごい名づけ方だな。
納得いかない顔をするので、私も彼に聞いてみた。


 「人間の子供に、この名前をつけるのは可笑しいことなのですか」

 「可笑しいっていうか・・・まあ、普通はつけない名前だな」

 「では、私は普通では無いということでありますね」


自分が相手からどう思われるかを確認しただけだというのに、さんは悲しそうにした。
私はまた人間らしからぬ言動をとったのでしょうか。
今度は、こちらが首を傾げる。
さんは、笑った。


 「まるで、自分は人間じゃないみたいな振る舞いだ」

 「そうでないと言ったら、どうしますか?」

 「真面目な顔して冗談も言えたとは、知らなかった」


本当であります、と言う前に順平さんが会話に参加してくる。
危ないところでありました。
もう少しで、あの方の命を背くところでした。

しかし、何故でしょう。
友人に話しかけているだけだというのに、何だかさんをとられた気がします。

私に視線を向けられていないだけであります。
なのに、順平さんがズルいと思ってしまうのは、どうしてでありますか?


 「アイギスも、一緒に行くか?」


放課後に遊びに行くのを誘って下さったさんが、顔を覗き込んでくる。
良かった、まださんは私を忘れていない。
そう安心してしまう原因も、何故だか分かりませんが。


 「一緒に行ってもよろしいのでありますか?」

 「来て欲しいから誘ってるんだろ」

 「・・・行かせて下さい」



理由が分かるまで、傍にいてもよろしいでしょうか。



お願い







-back stage-

管理:ロボットの時に人間的感情があまりにも早く芽生えすぎてる話。
アイ:自分で矛盾を感じているのならば、書くなであります。
管理:ごめんよー。てか、その言葉遣いは順平からですか?
アイ:命令形で言うべきだと判断しただけであります。
管理:でも私が「であります」口調を使いたい為だけに敬語なのね。
アイ:分かっているなら、直して下さい。
管理:人間というのは、身勝手なものなんだよ。
アイ:つまりは、放置ということでありますね。

2007.03.11

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