君の、となり








 「もう春が来るね」


縁側で腰をかけているに、桃は茶を差し出す。
は感謝すると、熱いのを冷ますために、息を吹きかけた。



 「冬が終わるのは、嫌だな」



一口だけ飲んで、寂しそうに呟くを桃は笑った。


 「鍋料理は、どの季節でも食べれるでしょ」

 「雰囲気ってのが、あるだろう」


桃の指摘したことは、図星だった。
頬を膨らませて、茶をすする。
茶菓子を持ってきた桃も、隣に腰掛けた。


 「それに、牡蠣鍋は、旬でなきゃ美味しくない」


桃は、もう苦笑いするしかなかった。



いつも季節が変わると、は文句を言う。
旬の食べ物が食べられないだとか、その時にしか見えない景色が楽しめなくなるだとか。



そんな時、桃はただ隣に座っているだけだ。
彼は変わることを嫌がっているわけではなく、季節の変わり目を彼なりに感じているだけだからだ。




 「君。おかわり、どうぞ」


文句を言っては、飲んでいたの湯呑みは、すでに空であった。
それを桃に手渡すと、彼は腰を上げ、庭で腕を伸ばした。


 「桃」

 「なぁに?」






 「これからも、よろしくな」





振り返ったの笑みに、桃は元気良く答えた。










-back stage-

管:名前変換とか相手が誰とか関係ない話を書きそうになってしまった。
桃:そ、そんな事を告白しちゃだめだよ!
管:今回は、短め。
桃:(無視された・・・)

2006.03.05

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